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東 大介

2018.7.1

東 大介

新幹線で変わったこと

北陸新幹線が金沢まで開業して、石川、富山は大きく変わりました。観光客が激増することや、首都圏に進学する学生が増えることは十分予想されていましたが、ローカル番組に出演する全国区のタレントも激増するという予想できなかった影響も出ています。


今回取材した灰付けワカメも、新幹線から予想外の影響を受けたものの一つでした。影響を受けていたのは、ワカメにまぶす灰の調達です。かつて、この灰は漁のその日に砂浜で稲わらを焼いていましたが、現在は稲刈りの直後に数年分を作り置きしていて、扇谷さんは奥さんの実家に作ってもらっています。


ただ、その田んぼの位置が新幹線の高架橋にほぼ隣接していることから、開業後初となる今年の灰づくりは大変難儀したそうです。毎回、稲わらを燃やすときは役場、警察、消防署に申請を出していたのですが、今回、新幹線がすでに走っているため、消防署に「受理はしても許可はできない」と灰色の忠告を受け、黒部宇奈月温泉駅に行って許可をもらってこいと言われたそうです。


とはいえ、駅ではそんなことは対応してくれず、JR本社にも窓口があるのか、対応してくれるのかも分かりません。何より、北陸は降雨日数日本一を争う県ばかりで、変わりやすい秋の好天日を逃すわけにはいきません。


そこで、知り合いのJR職員や漁協に相談した結果、始発前に稲わらを燃やすことにしたそうです。終電後も検討したそうですが、闇夜に炎が立ち上がると災害が起きたと誤解を招きかねないので、日の出から始発までの間に稲わらを燃やしたということでした。


新幹線のインパクトは地元にとっては歴史的な大転換なので、北京を舞う蝶のように小さな存在とは言えませんが、扇谷さんの話を聞いたときはバタフライエフェクトに遭遇した気分でした。

 

記者プロフィール

東 大介

東 大介

ひがし・だいすけ ITベンダーでのシステムコンサルタントをへて金沢、東京で展開する編集プロダクション「ライターハウス」で勤務。ダイエットに成功し、2型糖尿病を克服したのがひそかな自慢

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