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山本将史

2018.10.1

山本将史

無償の行為

2018年9月4日、日本のテニス界の歴史が変わりました。ご存じの方も多いでしょうが全米オープン女子シングルスで大坂なおみ選手が優勝を果たしたのです。若干20歳の新鋭が元女王のセリーナ・ウィリアムズを圧倒し、最も権威のあるグランドスラムの一つの大会を制したことは、テニスファンならずとも日本の人々を熱狂の渦に巻き込みました。
大坂選手は、ハイチ系アメリカ人の父親と日本人の母親の元に生まれ、3歳まで大阪で過ごした後、アメリカに移住しました。姉の影響でテニスを始め、小学生のころは自宅の近くにあったテニスコートで家族そろって遊んでいたようです。その様子を見ていた地元のコーチは、大坂選手のトップ選手になるほどの才能を見抜き、コーチングを買って出ました。両親は共働きで経済的に苦しかったため、コーチは無償で指導したそうです。この頃の大坂選手は練習の手を抜きがちで、コーチは「こんなことでは一流にはなれない」と諭し、真剣に練習に取り組むようになりました。このような無償の支えがなければ、今日の大坂選手の活躍はなかったと思います。
ところで、今回取り上げた吉川さんを、レンコン農家として羽ばたかせたのは、山田正一さんです。吉川さんからの電話を受けた山田さんは、会ったこともない吉川さんに畑を用意します。そして、レンコンづくりのノウハウを一から教えました。レンコン農家の後継者を探していたとはいえ、その無償の行為は吉川さんを大きく後押ししたと言えます。人は、得てして自分の行為に対価を求めがちですが、見返りを求めない自然な心遣いを見習いたいものです。
 

記者プロフィール

山本将史

山本将史

やまもと・まさし 新聞記者をへて金沢、東京で展開する編集プロダクション「ライターハウス」で勤務。新たな人との出会いを活力に。

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